くたばって終い?――二葉亭四迷『平凡』私論――

くたばって終い?――二葉亭四迷『平凡』私論――

状態 完成
最終更新日 2014年07月03日
ページ数 PDF:13ページ
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内容紹介

二葉亭四迷最後の小説『平凡』は、地方官吏として働きつつ、家では翻訳で小金稼ぎをする極めて所帯じみた小説家が、自身の半生を振り返る自叙伝である。祖母、飼っていた犬、上京、雪江とお糸という二人の女性、そして父親の死。これら過去を振り返りながら、随所に文学批判を展開するこの小説は、近年の文体的評価を除いて、四迷の私小説とみなされてきた感が強い。本稿では文体(どう語っているか)ではなく、もちろん私小説的コードの方向でもなく、小説構造やその高次のテーマ性(なにを語っているか)に注意しながら、文学をアンビヴァレンスを描いた小説という、新しい評価を与える。

【目次】
序、くたばつて仕舞へ
一、三つの名
二、経済に拘束される小説家
三、死を看逃す
四、失われた〈終り〉を求めて


【略年譜】
元治1(1864)年 江戸市ケ谷にて誕生。本名、長谷川辰之助。
明治14(1881)年 18歳。東京外国語学校露語科に入学。
明治19(1886)年 「小説総論」、『中央学術雑誌』、4月。
明治20(1887)年 24歳。『浮雲』第一篇を出版。
明治21(1888)年 翻訳ツルゲーネフ「あひびき」、『国民之友』、7・8月。
明治39(1906)年 『其面影』、『東京朝日新聞』。
明治40(1907)年 44歳。『平凡』、『東京朝日新聞』。
明治41(1908)年 「余が半生の懺悔」、『文章世界』、6月。
明治42(1909)年 ベンガル湾洋上にて死去。

目次
序、くたばつて仕舞へ
一、三つの名
二、経済に拘束される小説家
三、死を看逃す
四、失われた〈終り〉を求めて
奥付
奥付