葉山嘉樹の寄生虫

葉山嘉樹の寄生虫

状態 完成
最終更新日 2014年02月01日
ページ数 PDF:12ページ
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内容紹介

プロレタリア作家として有名な葉山嘉樹のテクストにはしばしば寄生虫、パラサイトが登場してくる。度重なる寄生虫の表象を追ってみると、それは成人として自立してないという葉山のコンプレックスの表現となっていることが分かる。特に、プロレタリア作家をやめて転向したといわれる昭和一〇年代の短篇『寄生虫』(昭一六・三)には、愛娘に巣食う寄生虫と農村の寄食者たらざるをえない自分自身が写し絵のようにして描かれている。しかし、『寄生虫』のメッセージはそれだけにとどまらない。どんなに憎悪しても撲滅することのできない寄生虫の無数性から、寄生的な生のあり方を切り捨てることのできなかった葉山文学の本質的側面を明らかにする。

【目次】
序、幸福と寄生虫――『求めよ』
一、生活と寄生虫――『悪夢』
二、国家と寄生虫――『寄生虫』
三、思想と寄生虫――『尻尾は尻に』
四、寄生虫と寄生虫と

【葉山嘉樹略年譜】
明治27(1894)年 福岡県京都郡豊津村にて誕生。
大正2(1913)年 早稲田大学高等予科文科に入学。学費が結局足りなくなり除籍。カルカッタ航路の貨物船に水夫見習として乗船。
大正14(1925)年 『淫売婦』が『文芸戦線』(11月)に発表され、一躍新進作家として注目を浴びた。
昭和1(1926)年 『セメント樽の中の手紙』、『文芸戦線』、1月。『海に生くる人々』、改造社、10月。
昭和4(1929)年 『悪夢』、『週刊朝日』、3月。
昭和8(1933)年 エッセイ「つゆ空の文学を語る」、『報知新聞』、7月。
昭和9(1934)年 東京でのプロレタリア作家生活をやめ地方生活者となる。
昭和12(1937)年 未発表小説『尻尾は尻に』執筆。
昭和13(1938)年 未発表小説『求めよ』執筆。
昭和14(1939)年 『海と山と』、河出書房、2月。
昭和16(1941)年 『寄生虫』、『ユーモアクラブ』、3月。
昭和20(1945)年 満州国開拓員として満州に赴くが、その帰国の途中に死去。

目次
序、幸福と寄生虫――『求めよ』
一、生活と寄生虫――『悪夢』
二、国家と寄生虫――『寄生虫』
三、思想と寄生虫――『尻尾は尻に』
四、寄生虫と寄生虫と
奥付
奥付