状態 | 完成 |
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最終更新日 | 2012年09月26日 |
ページ数 | PDF:15ページ |
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中編小説『工場細胞』のテーマの一つに、小林多喜二は党員による裏切り行為(スパイ)を数えていた。実際、テクストには鈴木や森本といった登場人物が裏切り者として認められていく過程が描かれている。しかし、その問題性を個々人の性格や心理だけに求めることはできない。実際、『工場細胞』は当時繰り広げられていた、共産党の非合法主義的な地下活動の形態が与える、情報の環境や特徴的な規範が裏切り行為を準備していることを教えている。必ずしも多喜二が意図していなかった裏切りの歴史的条件をテクストの細部を手がかりに考察する。
【『工場細胞』梗概】
『改造』1930(昭和五)年4、5、6月号に発表。「H・S工場」という近代的な製罐工場。そこで働く労働者は機械に疎外され搾取されつつも、会社に所属していることに名誉を感じて働いている。そんな中で、工場内で秘密裏に繰り広げられる左翼運動を、森本、河田、お君、お芳、鈴木といった様々な登場人物の眼差しから描き出す。続編『オルグ』に続く。
一、裏切りの歴史――浮ぶこと/沈むこと |
二、非対称の情報環境 |
三、脱人格化との葛藤――人/運動 |
四、純粋主義の逆説――人間/機械 |
結論、信頼の条件 |
註 |
奥付 |
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