状態 | 完成 |
---|---|
最終更新日 | 2012年11月23日 |
ページ数 | PDF:4ページ |
ダウンロード | PDF形式でダウンロード EPUB形式でダウンロード |
Kindleで読む | New ※要設定 設定方法はこちら |
Sさんは、ずっと一人で暮らして来た。ご主人を亡くし、一人いた娘さんも、結婚して隣町に引っ越した。足が不自由で、一人暮らしも大変そうだったが、「娘に迷惑はかけたくないの」といつも言っていた。旅行もしたいが、一人では行けないからと、団地の自治会の旅行に行くのを楽しみにしていた。が、その旅行の前々日に、お風呂で倒れてしまう。
新聞が溜まっているのを不審に思った隣人が、自治会に通報し、自治会は娘さんに電話した。で、発見される。
亡くなったSさん。私は通夜に行った。参列者も少なく、さびしい通夜だった。団地の垣根には、白や赤、ピンクの山茶花が咲いている……。山茶花に見送られるように、逝ったSさん。その願い通り、娘さんに迷惑をかけることはなかった。
山茶花の通夜 |