福祉のひろば 2015年8月号

福祉のひろば 2015年8月号

販売価格:440円 (税込)
状態 完成
最終更新日 2015年07月08日
ページ数 PDF:88ページ
内容紹介

特集 女性と平和――過去に向き合わない政権は、国民の現実も見ない――

今特集は、大多数の憲法学者が違憲と判断する法案を議席の数で強行しようとする情勢下で、平和を守り、願い、そして抗する女性をとりあげます。

サブ特集は、戦時体制下の強制労働、強制連行問題です。
一九四二年、朝鮮人内地移住要綱にもとづき、一九四五年の終戦までに日本へ強制連行された朝鮮の人々は八〇万人とされ、二〇%以上が北海道の開拓工事現場に送られ、過酷な労働環境で強制労働に従事し、病に倒れても満足な医療も受けず、死者は山中に埋葬されたままろくな供養も受けられませんでした。

ここから逃れた労働者は、「戦争は戦闘員を殺傷するだけでなく、民間人の生命、家族、友人、仕事、地位、財産、可能性などを奪い、国土を荒らし、人間の精神を荒廃させ、遺族に長い悲嘆を残します。人類のあらゆる犯罪の中で、戦争ほど悪質で、規模が大きく、時間と場所に長く広い影響を与えるものはありません。しかも、戦争は彼我どちらにとっても犯罪であるにもかかわらず、勝者が必ず正義になります。加害者が勝利した時は加害者が正義になるのです。そんな犯罪はほかにありません。私は朝鮮人強制労働の真の犯人は戦争だと思っています」と訴えるのです(森村誠一著・小説『笹の墓標』より)。

一九三八年、第一次近衛内閣は国家総動員法を成立させ、労働者の雇用、解雇、賃金、労働時間などが統制されていきます。物資動員計画では、軍需が優先され、民需は最低限まで切り詰められていくのです。そして、併合した国々の人たちを強制的に日本に移動させ、非人間的な労働力として使い捨てていくのです。

「非人間的な行為が正当化」されていく歴史をしっかりと捉え、学び、同じあやまちを繰り返さないこと、福祉の前提は平和であることを再確認したい。

(編集主幹 黒田孝彦)