もうすぐ我慢できなくなる、周りのひとの服を全部自分ひとりで着ている。ちがう、何も着ていない、自分の服も着ていない、周りのひとの方がよりぴったりと、こちらの服に密着している、彼らが着ているのだ。自分はまったく裸、柔らかな肌がくぼみで震え、四方を見回して竦んでいる。隠れよう、隠れている。棒になった骨から、蜘蛛の糸のような白い筋がまだ繋がっている自分の肉を、周りのものが着ている。周りの者が、自分の骨をアクセサリーにして飾っている。かすかに暗い一本の傷跡、それが自分なのだ。じっと動かず静かにしていよう。動けない、重い、厚いものを着ている、肉を着て、膚を着て、服を着て、周りのものの服まで着て、周りのものの肉を着て、骨を飾り、その向こうの者の着ている服まで、ありったけ着こんで、車体まで着こんで体中で震えている。ーーこれは、誰かたちの闘争記です。多くの人々が、夢遊病者のように、熱病のように、混沌のなかに巻き込まれていきました。誰かは通勤途中、闘争に巻き込まれていきます。思考を超えた行動心理と、人間存在の追求!!島さち子の代表的作品です。
第1章 |
みんな幽霊になった!! |
装 画 |
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第2章 |
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第3章 |
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