ひと時のタバコ

ひと時のタバコ

販売価格:330円 (税込)
状態 完成
最終更新日 2016年12月10日
ページ数 PDF:26ページ
内容紹介

今井健也は建築会社に勤めている26歳の青年である。健也は、ずっと鼻の調子が悪く、だましだまし仕事を続けていたが、ある日匂いが全く感じられなくなってしまい、心配になり病院に足を運ぶ。医師の診断結果は「重い蓄膿症」であり、手術を受けなくてはならなくなる。仕事を何とか調整して入院したものの、今任されている「現場監督」というポストを他人に委ねてしまうことに不安と焦りを感じている。
ある日病院の中庭で、同室の「石田」という患者がタバコをふかしているのを見かけ、話をする。石田は人懐っこい性格をしており健也と話をしていてもどこか憎めないところがある人だった。石田に親近感を覚えた今井はその後いろいろな話を交わすようになる。
翌日、健也の蓄膿症の手術が執り行われ、手術は無事成功する。石田は健也をタバコに誘う。石田は自らの病気のことを健也に話し出す。石田の病気は「拡張性心筋症」という難病だった。心臓の運動細胞が失われていく病気でやがて動けなくなる。その先にあるのは「死」である。
しかし、石田には暗さは微塵も伺えない。健也はそこまで明るく振舞える石田にただただ驚くばかりであった。最初石田にタバコを控えるように迫るが、やがて忠告することを止める。
そんな折、急遽、石田の「CCU」行きが決定される。急な別れに健也は石田にありきたりの挨拶しか言えない。4日後、健也は退院する。もはや石田は面会謝絶の状態だった。病気が治癒して「生」に向かう人間、ただ「死」に向かっていく人間。やりきれない気持の中で「ひと時のタバコ」を満喫するという生き方もある事に気付く。

目次