さて、今回は、今までの続編としての「火の巻」であるが、それでは、宮本武蔵は、なぜ、「火の巻」と名付けたのかと問えば、それは、「……二刀一流の兵法、戦ひの事を、火におもひとつて、戦ひ勝負の事を火の巻として、この巻に書き顕はす也」とある。――つまり、「火の巻」というのは、まさに「火」に思いなぞらえて、実践での「戦い勝負」の仕方などについて、いわゆる「火の巻」として書き顕わしたものである。そして、宮本武蔵自身、長年に渡る数多くの実践から学び得た「生きた兵法の智慧(ちえ)」を、まさに次から次へと「二十七項目」語っていくものであり、例えば、場の次第をはじめ、三つの先、枕を押さえる、渡(と)を越す、景気を知る、剣を踏む、四手(よつで)を放す、陰(かげ)を動かす、影をおさえる、三つの声、山海(さんかい)の替り、束(つか)を放す、岩尾の身、その他、それらは、それぞれ実践での「戦い勝負」の仕方について書き記したものであり、それら一つ一つの項目に対する考察であり、興味や関心がありましたら、ぜひとも訪ねて見てください。
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