建築家の檻 6

建築家の檻 6

状態 完成
最終更新日 2015年05月10日
ページ数 PDF:17ページ
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内容紹介

怪しげな大陸浪人の面々や、阿片人脈、
岸信介や、東条英機の話も飛び出し、
丹下会長の満州時代の話も佳境に入る。
会長は戦後の日本社会そのものが、透明な檻の中だともいう。
そして羽木務は、この企業の内部を探るうちに、
本社ビルを創り上げながらも、世間的にはタブーとなっている
鷲巣数光という男の想いを身近に感じていく。

かつて戦前戦中における満州の阿片人脈にも通じる
老いたゼネコン社長の自分史制作をサポートする
ことになったフリーライターの羽木務。
その会社は、小さな独裁国家のような息苦しさで、
本社社屋は「父親殺しの建築家」として、世間から葬り去られた鷲巣数光の設計による奇怪な迷宮であった。取材を進めるうちに羽木は、丹下建設の贈収賄疑惑にも巻き込まれることになる。
 ――人間にとって、建築とは何か。
  主人公は、神と世界への疑惑を抱えた自称"グノーシス派"の建築家の作品に、奇妙に引き寄せられる。
創造とは、権力意志の変容としての"呪われた業"であり、すべての芸術は、悪しきデミウルゴスによる幻影、イリュージョンなのか。
「檻」であり、ミクロコスモスであり、自己探求と解放への装置でもある〈建築〉をめぐる純文学ミステリー。
 
過去の雑誌掲載作品『小説海越』(1998)に、一部手を入れて連載します。
(連載全17章/各章ごとに随時Up)

          Grasshouse/ 草原克芳

目次
満州で馬賊の親分になりたかったのさ