本書では私が感銘を受けた、過去の偉人が残した言葉を紹介しています。元となったのは二〇〇八年十一月から毎日書き続けているブログからです。『愛語よく廻天の力あり』の言葉の通り、良い言葉には世の中の変えるほどの力があります。また自分が日々どのように思い、どのような言葉を話しているかで自分自身や自分を取り巻く世界が認識されていきます。ですからどのような言葉に触れてきたかが、自分を形成していくとも言えます。私は臨床心理士として数多くの方々の悩みに耳を傾けてきましたが、来談に来る人は自分や環境に不適切な認識をしていることが多くあります。たとえて言えば、心にある信念が書いてある黒板に、自分を苦しめるような言葉がたくさん書かれているようなものです。カウンセリングはその黒板の言葉を、適応的なものに変えていく作業だともいえます。
ではどのような言葉だと適応的なのでしょうか。もちろん個人差があるため、相談者の状況に応じて行なうのがカウンセリングです。しかし万人に合うとはいえなくても、多くの人に有効な言葉なら挙げていくことができます。
それが本書でお伝えする言葉たちです。
まえがき |
明珠在掌(みょうじゅ たなごころに あり) |
一期一会 |
一水四見 |
吾唯知足(われただたるをしる) |
我れ、深く汝らを敬い軽んぜず。 |
先ず臨終の事を習うて後に、他事を習うべし。 |
花を弄すれば香り衣に満つ。 |
White lie(ホワイト ライ) |
日々是好日(にちにちこれこうじつ) |
志を立てて以って万事の源と為す。 |
融通無碍 |
自反而縮 雖千萬人 吾往矣(みずからをかえりみてなおくんば せんまんにんといえども われゆかん) |
君子は必ずその独りを慎む |
愛語よく廻天の力あり |
脚下照顧(きゃっかしょうこ) |
和顔施 |
夢見る力のない者は、生きる力もない。 |
脱皮できない蛇は滅びる。その意見を取り替えていくことを妨げられた精神たちも同様だ。それは精神であることを中止する。 |
万事は辛抱強く待っている者のところにやってくる。 |
人間の弱さというものが、人生を究めるのに必要になってくることがしばしばある。 |
他人のために尽くすことだ。そうすれば、つまらない劣等感など、七月のとうもろこし畑にかかる朝霧のように、跡形もなく消え失せてしまう。 |
人間の間にあって渇しないためには、あらゆる盃から飲むことを学ばねばならぬ。人間の間にあって純潔を保とうと思う者は、汚れた水で身体を洗うことも心得ねばならぬ。 |
人間には他のあらゆる罪悪がそこから出てくる二つの主な罪悪がある。すなわち短気と怠惰。 |
至道無難、唯嫌揀択(しどうぶなん、ただ けんじゃく をきらう) |
相応の理(そうおうのことわり) |
人間にとって最大の幸福とは何か。それは新しい発展に参加することだ。 |
経験は数千年前からなされてきたが、その跡をたどっても無駄である。他人が自己のために経験したことは、そのまま諸君には通用しない。諸君は自分自身のために経験し直さねばならない。 |
もっとも長生きした人とは、もっとも多くの歳月を生きた人ではなく、もっともよく人生を体験した人だ。 |
寝床につくときに、 翌朝起きることを楽しみにしている人は幸福である。 |
隠忍自重(いんにんじちょう) |
人間を自由にできるのは、人間の理性だけである。人間の生活は、理性を失えば失うほどますます不自由になる。 |
花が花の本性を現じたるときもっとも美しくなるが如く、人間が人間の本性を現じたるときは美の最上に達するものである。 |
自己満足しない人間の多くは、永遠に前進し、永遠に希望をもつ。 |
銀行の出納係に似ている学者がたくさんいる。多くの金を出す鍵を持っていても、その金は自分のものではない。 |
人間は毅然として現実の運命に耐えていくべきだ。そこにはいっさいの真理がひそんでいる。 |
金を失うことは、小さく失うことである。名誉を失うことは、大きく失うことである。しかし勇気を失うことは、すべてを失うことである。 |
われわれは人から尊敬される価値がある、という自信が もっとあったならば、人々の尊敬を得ようという野心はそんなにもたなくなるだろう。 |
われわれの務めは成功ではない。失敗にも負けずさらに進むことである。 |
曰わく、君子に三畏(さんい)あり。天命を畏(おそ)れ、大人を畏れ、聖人の言を畏る。 |
挨拶(あいさつ) |
行住坐臥(ぎょうじゅうざが) |
応に住する所無うして其の心を生ずべし(まさに じゅうするところのうして そのしんを しょうずべし) |
苦しみを恐れる者は、その恐怖だけですでに苦しんでいる。 |
好事不如無(こうじも なきに しかず) |
君の読む所のものは古人の糟魄(そうはく)のみ。 |
至上の処世術は、妥協することなく適応することである。 |
臆病でためらいがちな人間にとっては、一切は不可能である。なぜなら、一切が不可能なように見えるからだ。 |
幸運は偉大な教師である。不幸はそれ以上に偉大な教師である。 |
青年に勧めたいことは、ただ三語に尽きる。すなわち働け、もっと働け、あくまで働け。 |
幸せでありたいというのか。まず苦悩することを覚えよ。 |
なすべきことをなそうと決心せよ。いったん決心したことは必ず実行に移せ。 |
伏すこと久しきは、飛ぶこと必ず高し。 |
陽気な心は薬のように人のためになる。 |
やるだけのことはやって、後のことは心の中でそっと心配しておれば良いではないか。どうせなるようにしかならないよ。 |
虚仮の一念岩をも通す |
心外無別法(しんげむべっぽう) |
真実でさえ、時と方法を選ばずに用いられて良いということではない。 |
井戸を掘るなら水の湧くまで掘れ。 |
巧詐は拙誠に如かず(こうさは せっせいに しかず) |
沈静なるは最もこれ美質なり。 |
世の中には、生きながら心の死んでいる者がいるかと思 えば、その身は滅んでも魂の存する者もいる。死して不朽の見込みあらば、いつ死んでもよいし、生きて大業をなす見込みあらば、いつまでも生きたらよいのである |
ただはつらつとした活動によってのみ、不愉快なことは克服される。 |
一身弁じ難く、衆力成じ易し(いっしんべんじがたく、しゅうりきじょうじやすし) |
金がないから何もできないという人間は、金があっても何もできない人間である。 |
色即是空 空即是色(しきぞくぜくう くうそくぜしき) |
明鏡止水(めいきょうしすい) |
不思善不思悪(ふしぜんふしあく) |
絶学無為(ぜつがくむい) |
小事にこだわるには、人生はあまりにも短い。 |
どんなことも七世代先まで考えて決めなければならない。 |
故きを温ねて新しきを知れば以って師と為るべし。 |
たいていの人々は、運命に過度の要求をすることによって、自ら不満の種をつくっている。 |
成功が努力より先に来るのは辞書の中だけだ。 |
愛はお互いを見つめ合うことではなく、ともに同じ方向を見つめることである。 |
喜んで行ない、そして行なったことを喜べる人は幸福である。 |
直心是道場(じきしんこれどうじょう) |
小才は、縁に出会って縁に気づかず。 中才は、 縁に出会って縁を生かさず。 大才は、袖すり合った縁をも生かす。 |
犀(サイ)の角のようにただ独り歩め。 |
自分より偉大なものには、つねに畏敬の念をもて。 |
一冊の本というのは、最初の一行ができたときに、ほとんど成功したようなものだ。 |
人間が本当に悪くなると、人を傷つけて喜ぶこと以外には興味を持たなくなる。 |
知ることが少なければ、愛することも少ない。 |
自分が不幸な時、他の人たちを非難するのは無教養者、自分自身を非難するのは教養の初心者、そして他人も自分も非難しないのが本当の教養人である。 |
成功の秘訣は、職業をレジャーとみなすことだ。 |
「寒い晩だな」「寒い晩です」妻の慰めとは、まさにかくの如きなり。 |
やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。 |
おもしろき こともなき世を おもしろく すみなすものは心なりけり |
新聞を読まなくなってから、私は心がのびのびし、実に気持ちが良いです。人々は他人のすることばかり気にかけて、自分の手近かの義務を忘れがちです。 |
則天愛語【あとがき】 |
坐臥 |