状態 | 完成 |
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最終更新日 | 2015年03月28日 |
ページ数 | PDF:80ページ |
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夫とかわいい盛りの息子。恭子は、時折誰かに見張られているような気配と、ひどい頭痛を覚えること以外は、はた目には幸せに見える生活を送っていた。ただ一つ、過去に起きたある事件のことを除いては――。七年前。当時幼稚園児だった水沢家の長女、来夏(らいか)が、遠足に訪れていた山林で行方不明となり、未だ発見されないままの状態が続いていたのだ。恭子の夫である和彦は、親として当然娘の無事を信じていたが、普段娘のことをあまり気にかけている様子ではない妻に対して、ひそかに違和感を覚えていた。実は恭子のほうも、来夏の事件について、夫にも話せないある秘密をもっていた。夫婦は互いに相手の真意を推し量るようにしながら、日々の暮らしを続けていた。
娘が無事であれば、小学六年生、十二才に成長しているはずの夏。恭子の身辺に、突然一人の奇妙な女の子が現れる。顔が見えないほどだらしなく伸びきった髪の毛。妙な時代遅れの洋服。色あせたズック靴。およそ今どきの子供とは思えない、不気味な感じの漂う子供だった。恭子の周囲に突然現れては、次々とおかしな行動を繰り返す少女。その子の存在に、恭子は次第に追いつめられていく。