福祉のひろば2015年4月号

福祉のひろば2015年4月号

販売価格:440円 (税込)
状態 完成
最終更新日 2015年03月17日
ページ数 PDF:88ページ
内容紹介

特集「わかものは 浮かれていない」
 このことばは、本誌の編集室会議で話された、学生たちの生活事例から出たことばです。

「兎角に人の世は住みにくい」という夏目漱石の『草枕』の一節があります。日本の現在の政府・国家は、ともすれば、そこで生きていくのは、暮らしていくのは、あくまで自己責任という新自由主義的発想です。戦後七〇年の歴史的な変遷、とくに教育におけるさまざまな国家要請が持ち込まれ、主権者としての国民を育むことより、国家に役立つ、企業戦士を育成する競争主義的な傾向が強められてきました。この背景の中で育ってきたわかものたちが、仕事として社会福祉の領域を選択し、そして、この春から働こうとしています。このわかものたちから大いに学びたいと、今春から働く予定の方々の調査を行い、掲載することにしました。

さまざまな選択肢の中で、社会福祉の仕事を選び、そこで働く決意がありました。社会福祉関係の資格を取得しても、一般企業を優先する学生たちも少なくありませんが、一般企業の競争や生きづらさから、持っていた社会福祉の資格を生かす仕事にもどってくるケースもあります。むしろ、最近は増えている傾向です。さまざまなわかものたちが、自らの居場所を探して、苦悩しています。

社会福祉現場は、これまでの固定した育成や対応ではなく、その年に入職してくるわかものたちの背景や状況に向き合いながら、いまの社会福祉現場で輝けるわかものとして、共に育ちあわなければなりません。そして、そのわかものたちのエネルギーが発揮されはじめると、事業所の雰囲気も一気に明るくなるという体験も多くあります。たしかに国家の社会福祉への攻撃や抑圧は続きますが、だからこそ、あらたに加わってくるなかまに大いに期待したいと願うのです。(編集主幹)