【あらすじ】
2011年の震災後発見された海底エネルギー「ビスキュイ」。日本は政府下でビスキュイを精製増幅させる施設「POCKET」の技術により国際的信頼も復権していた。運営は半官半民組織「創造的潜在エネルギー研究開発機構」が行っている。十二年後、火災事故が発生。原発の記憶が呼び起こされた国民は怒りを機構に向ける。一研究員の千夏は都内に隠れるさなか、能仲間でもあった上司の合力からビスキュイの危険性、政府の思惑を聴かされる。千夏はもとより別居をしている現場作業員の夫と息子と混乱の中で会えないままだった。解決法を尋ねにきたつもりが合力から「POCKET」阻止を頼まれる。だが、肝心の方法は合力も記憶が無い。手がかりは能の道成寺だけだった。身の安全を守るという国の計らいで千夏達は田舎の村に避難する。その避難が、夫婦としての亀裂、一研究員としての尊厳、道成寺の謎、あらゆる混沌の始まりだった。
【平成三十五年十月一日】 |
【平成三十五年十一月D日】 |
【平成三十五年十二月G日】 |