携帯電話もメールもない時代。
浅倉ヒカルは隅田川に近い都立高校に入学した春、無愛想でネクラの颯士、黒帯だが女好きの勇斗、律儀な優等生祐輔、砂糖菓子のようなあかね、スパイシーな美少女麻耶に出会う。
六人は入学早々に行われたホームルーム合宿の実行委員を務めるが、颯士だけは心に影を持ち、なかなか打ち解けようとしない。
一方、ヒカルは廃部寸前の軽音楽部と演劇部を掛け持ちし、両部を盛り立てようと忙しく賑やかな学校生活を送るが、軽音楽部長で校則破りの常習犯と謳われる風間響は、そんなヒカルをからかって遊ぶ毎日だ。だが、それはいつしかせつない想いに変わっていく。
楽しいだけではない。それぞれ悩みも葛藤もある中で、快活に高校生活を送る主人公と仲間、先輩たち。
部活に恋、仲間たちとの絆、友情――。
いつも隣にある、ふと思い出せば隣にあった、ありふれた高校時代の日常たち――。
本作品は、【きみにとどくまで】六部作の第一部、浅倉ヒカルを中心とした同級生六人の出会いから卒業までの三年間の物語、その前編です。
――【きみにとどくまで】六部作――
第一部 Vivace(ビヴァーチェ)恋も部活も快活に。高校編。
第二部 Dolce(ドルチェ)卒業――。そして目覚め、甘く、柔らかく。
第三部 Adagio(アダージォ)ゆるやかに流れる旋律と近づく気配。
第四部 Gracile(グラーチレ)めぐりめぐってたどり着く場所。
第五部 Fermata(フェルマータ)こんなひとやすみも有り。
第六部 Felice(フェリーチェ)幸せのカタチ。完結。
パブー版【きみにとどくまで】は全6巻で公開を予定しています。