あの頃、僕は「ジャニーズ」だった。
これは今から30年も前の話である。テレビをつければ、そこには必ずアイドルがいた。
画面いっぱいに輝いていたのは、田原俊彦、近藤真彦、野村義男、シブがき隊と後の歴史にも残る80年代のスーパーアイドルたちだった。
これはジャニーズ事務所のアイドルたちがあらゆる番組を席巻し「ジャニーズ王国」が始まった頃の物語である。
そんなアイドルに憧れてはいたが、当時の僕はちょっと悪ぶってグレたり、仲間とディスコに行ったり、何よりも初めてできた彼女との恋愛を楽しんでいる普通の高校2年生だった。
そんなある日のこと、1通の手紙が届いた。
真っ黄色の封筒の差出人の欄には「株式会社ジャニーズ事務所」と印字されている。
中にはオーディションのお知らせが1枚入っているだけだった。
この紙きれ一枚が、その後の僕の運命を大きく変える事になる。
何百人と言うオーディション志願者の中からたった一人だけ「ジャニーズジュニア」に選ばれたその理由とは?
業界のドン・ジャニー喜多川社長に言われた言葉の意味とは?
「ユーは何がしたいの?」
「ユーはレッスンに来れるの?」
「ユーはもうアイドルなんだから」
「ユーはここで見ていて!」
憧れていたアイドルに逢わせてくれたばかりか自分がアイドルの道に?
「ジャニーズってどんな世界だろう?」
「ジャニーさんの悪戯?」
「ジャニーさんの一言でテレビに出る事に?」
「ドラマで主役になるには? 」
「アイドルのバックダンサーってどうやってなれるの?」
「仲間や友達はいるの?」
知られざるジャニーズの世界を淡々と自分の経験談として書き綴る「あの頃のジャニーズ・夢と彼女とジャニーズと」
どうぞお読み下さい。
武口 明