名古屋に来た。初めての街だった。二日目に十人ばかり従業員がいる印刷会社に就職した。夜は愛知正道館に通う日が二年ほど続き、三年目の終わり頃に会社が倒産した。未払い給料が八ヶ月分溜まり、どこに行くにも金がいる。仕方なく倒産した会社の
社長夫人の実家窯元で当分働くことになった。行ったのは寮にいた重田博司と笹山高次との三人である。そこで窯元で働く賄い婦の娘が誘拐される事件が起きた。先の印刷会社の負債に関わる事件であった。要求された身代金を預かった安城寺俊秀は、重田、笹山を連れて交渉現場に行くことになった。・・・・。
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