雪深い草津。カフェの窓からは湯畑広場が一望できる。実刑七年の刑期を満了した木村が草津に居を据えた真意とは……。
警視庁捜査一課に勤務する徳井義宏。彼は木村の親友であり、そして七年前に親友が起こした傷害致死事件を担当した刑事でもあった。
徳井には苦い記憶がある。父親が作った一千万円の借金が齎した家族の崩壊。借金の肩代わりとして奪われた、二億円は下らないと推定される百坪の土地。
幼かった徳井には成す術がなかった積年の残像に対して、彼は今あらゆる手段を駆使し、チェスの駒を進める。
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