「ねぇキヨミ、あなたが初めてお酒を飲んだ日のこと、覚えてる?」 カコは片手に焼酎の水割りが入った湯飲みを持ちながら私にそう尋ねた。 どこの町に行っても同じように存在するチェーン店の居酒屋。マニュアル通りに威勢の良い声を発し続ける店員と、上司や同僚に対する愚痴を間断なく発し続ける会社員達に紛れ私達は向かい合って酒を飲んでいる。 「さあ、覚えていないわ。もう何年も前のことだもの」