状態 | 完成 |
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最終更新日 | 2013年05月18日 |
ページ数 | PDF:88ページ |
【特集】児童福祉法65年─大阪市西成区 "釜ヶ崎" から児童福祉を考える
1947年に児童福祉法が施行され、今年で65年。同法はすべての児童に平等、生活、発達を保障するという理念と国家の責任を明らかにしています。しかし、日本が「子どもの権利条約」(1989年に国連で採択)を批准したのは世界で158番目(1994年)。あまりにも遅い批准というだけでなく、日本政府は、その条約を真摯に実行するどころか、仮面にしてきました。
現在、新自由主義の構造改革路線、その延長の社会保障・税一体改革路線は、自助・共助を掲げて公助を排除し、より一層「自己責任」を旗印に、児童福祉法24条の「保育責任」についても公助を排除してきています。母子家庭の3分の2が貧困を示し、将来への見通しが持てない生活環境に置かれている人たちが増えています。保育の市場化や児童福祉における自助・共助の強調は、憲法25条からも逸脱しています。
以前、本誌で子どもの貧困問題や定時制高校生の座談会を掲載しました。その中で、当時の橋下徹大阪府知事が、高校生たちとの懇談で、通学に困難をきたし、弁当も我慢しているのが生徒の生活実態で学業に専念できないという訴えや、私学助成の存続等の要望に対し、「現在は自己責任の社会。高校は義務教育でない。それがいやなら、他の国にいく選択がある」というような発言をして、参加した高校生たちが涙ながらに怒りと悔しさを胸に刻んだことを紹介しました。今、その橋下氏は大阪市長、維新の会代表としてマスコミに持ち上げられ、西成特区構想を打ち出しています。その主たるターゲットは〝釜ヶ崎〟ですが、この地には、就労問題だけでなく、長年積み重ねてきた地域実践や福祉実践、生きている人々の実践があります。この構想とは対極かもしれない人々の実践を今回、憲法記念日や子どもの日がある5月の特集として発信することにしました。