状態 | 完成 |
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最終更新日 | 2013年05月18日 |
ページ数 | PDF:79ページ |
憲法こそ、復旧の基軸─被災地からの発信(Ⅱ)
三月一一日から半年が経ちました。被災地の復旧の考え方、原則をしっかりと持たなければ、と本誌への掲載要望が寄せられました。そこで、『人間の復興か、資本の論理か 3・11後の日本』(自治体研究社)を執筆された石川康宏さん(神戸女学院大学教授・総合社会福祉研究所理事)に登場していただきました。
本誌では、七月から八月にかけ、第二次の被災地取材を行いました。福島第一原子力発電所事故の大きな影響を受けている福島県いわき市では、学童保育と保育所を取材しました。子どもたちへの放射線の影響を少しでも減らそうと、除染活動に保護者と一緒に取り組み、学習会等を進めながら公的保育制度を守り続けようとしている現地の保育・学童保育関係者。
地域や家庭、子どもたちの社会にも原発企業免罪の論理が入り込み、家庭不和やいじめ等が起こっていること。被災し生活問題を抱えた福祉労働者自身が、同時に被災者の困難な生活問題に向き合う姿がそこにあります。
岩手県の応急仮設住宅は、八月一一日に目標の一万三九八三戸が完成しました。しかし入居率は七三%。避難者や住民に向き合う自治体の姿勢が仮設住宅にもあらわれています。
近隣として避難者を放置できないと立ち上がり、独自の判断で、プライバシーと木のぬくもりと地元産業に根ざした一戸建てや、気配を感じるコミュニティケア型木造仮設住宅を開設した自治体。大手プレハブ会社に依拠し、空室の目立つ仮設住宅。医療崩壊に追い打ちをかけた震災に、「仮設住宅に診療所機能を」と現実との乖離を放置して指針を出す厚労省の無策の姿もそこにはありました。(特集の扉より)