よく夢を見る。なぜだか古希を過ぎたあたりから、ほぼ毎夜見るようになった。日によっては一晩に何本も見る。うつつ(現)とはかけ離れた夢が多い。夢だから当たり前だが奇妙奇天烈なものなのだ。それにしても、これまでの生き様で出会ったこともなく、知識もないことが忽然と夢の中で舞い狂うのだった。
ひょっとすると、わたしは心の深層に宿っているうつつ心と遊んでいるのかもしれない。何しろ現世では身動きできない貧者だから。せめて夢の世界で遊んだらと、慈悲深い観音様が誘ってくれているのかも。
いや、そんな穏やかな夢だけではない。阿修羅地獄のなかで閻魔大王が、口から炎を吐きながら「とっとと来い!」と喚き散らしているときもあるのだった。
本当の自分って、いったい何者なんだろうか。
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