状態 | 完成 |
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最終更新日 | 2013年02月24日 |
ページ数 | PDF:6ページ |
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初版が出たのさえ十数年前だった。起稿(きこう)を思い立った日からでは、もう、二十年ちかい歳月がながれている。
この書が、装幀を新たに、版をかさねて出るとなると、いつも私は過去茫々(ぼうぼう)の想いにたえない。じつに世のなかはその間にすら幾変(いくかわ)りも変遷(へんせん)してきた。
さる人が私にいった。「あなたの宮本武蔵はもう古典ですよ、一つの古典として在るわけでしょう」と。なるほど、そんなものかもしれないと私も苦笑した。それならそれで望外(ぼうがい)なことだと思う。
だが、何しろ作家としては、二十年ちかくも年をけみしてみると、今日では自分ながら意にみたない所も多く、わけて心の未成熟(みせいじゅく)な自己のすがたが眼につくのであるが、しかしこれはこれなり私というものの全裸な一時代の仕事であったことにまちがいはない。後にどうつくろうべきものでもなかろう。ただ、時の流れと、時評の是々非々と、そして読者の需(もと)めにまかせるのみである。
目次 |
序 |
はしがき ――「旧序抄の」 |
奥付 |