イギリスの哲学者バートランド・ラッセルによれば、思想家としての「哲学者は、結果であるとともに原因である。すなわち哲学者は、その社会的環境やその時代の政治、制度の結果であり、また(もし哲学者が幸運に恵まれれば)後世の政治や制度を形成してゆく諸信念の原因となる。・・・すなわち各人の環境の所産として、また各人の属する社会というものに、アイマイに拡散した形態で共通している思想や感情が、その人の中に集中し結晶したのだ」(『西洋哲学史1』、みすず書房、原著者まえがき、より)。下巻ではサイイッド・クトゥブという人の中に集中し結晶した思想がいかにして生まれ、アラブ・イスラーム世界に急速かつ広範に普及、浸透して行った歴史的、社会的背景とその原因、今なお強大な動員力を維持する理由を徹底的に分析、解説する。
まえがき |
イスラーム主義宣言 |
西洋の衝撃 |
近代主義を克服したイスラーム原理主義 |
潮流の変化 |
パラダイムの崩壊 |
パルチザンとしてのムジャッヒディーン |
アメリカ民主主義の危機 |
あとがき |