奥野友一は、将来を嘱望される若手作家だった。しかし、未来への期待より不安の方が大きく周囲の祝福の声も苦痛になる毎日を送っていた。そんな時、出版記念パーティーでホテルグループの息子・水森翼と出会う。友一のファンだと公言する彼の言葉を聞いているうちに制作意欲を燃やした矢先、スランプに陥り次回作が書けなくなってしまう。
そのショックから引きこもりがちになり、妻・千沙子がどれだけ呼びかけようてもどんどん自分の
殻に入っていくようになっていた。
一方、出版記念パーティーで半年前に出会ったホテルグループの会長・水森翼は、順風満帆に行っていると思いきや彼も実生活では心が満たされることなく、心に生まれる虚無感は大きくなっていくばかりだった。そんな時、自分の父親が逝去。それからというもの、前よりもっと猛烈な死への興味を持ち始めていた。
違う場所や時間に、さまざまな生と死、崩壊と再生を繰り返しながら二人はそれぞれの道を歩んで
いたがひょんなことからまた再会した時二人の間には前とは違う新たな感情が生まれていたのだった。≪第一部≫
あまりに厳しすぎる試練が続く友一は、いつしか生きることへの希望を失いかけていた。
そんな時、自分の入院する病院で聖母マリアのような美しい看護婦・松本エリコと出会う。
彼女は献身的で笑顔を絶やさない女性であるが、どうやらそんな彼女も友一と似通った心境の
中で生きていた・・・≪第二部≫
第一部*プロローグ* |
*出会い* |
*半年後* |
*突然* |
*崩壊* |
*衝撃* |
*再生* |
*故郷* |
*希望* |
*アートギャラリー* |
*買い取り* |
*夢* |
*絶望* |
*涙* |
*母の影* |
*方向* |
*本音* |
*再スタート* |
*苦悩* |
*安らぎ* |
*一瞬* |
*問題* |
*犯人* |
*計画* |
*決着* |
奥付 |
第二部 |
*無気力* |
*閉心* |
*思い* |
*感謝* |
*光* |
*献身愛* |
*耐え難い現実* |
*転機* |
*事件* |
*破壊* |
*騒然* |
*哀傷* |
*かけ違い* |
最終部 |
*帰結* |
*遺作* |
*エピローグ* |