へそまげ福子の書籍冥利


著: kogataya

へそまげ福子の書籍冥利

著:kogataya
販売価格:550円 (税込)
状態 完成
最終更新日 2013年01月04日
ページ数 PDF:48ページ
内容紹介

女性の生き様を詠った句で評価を得ている歌人・へそまげ福子の句を春夏秋冬の季節ごとのチャプターに10句ずつ厳選して収録しています。

目次
へそまげの春
春霞 鉄路の果ての 菜の花や
茫漠と 鉛抱えて 花見かなや
茉莉花(じゃすみん)に 遠い汽笛と 通り声
惜しんでも 行く春のあり 去る人のあり
春の日に 猫かぶりかぶり 初出勤
寄せ書きは ごみに出したり ホーホケキョ
花なれど 咲くほど寂し ユキノシタ
日に何度 砂ぼこり舞う 胸の内
へそまげの夏
蝸牛(かたつむり) 来し方(こしかた)の迷い 歴然と
胸底の 溜まり水増え 梅雨明ける
梅雨寒し 思わぬ人と 夢で逢い
紫陽花の 去年(こぞ)より深き 色出でて
蚊帳(かや)の季に 入れず過ごした 幾夜かな
蝉なれば 失言もなし 蝉しぐれ
こうなれば ビールは薬と 思うべし
ダム出来て 山肌痛し 炎暑かな
人のこと つべこべ言うな 夾竹桃(キョウチクトウ)
へそまげの秋
赤まんま 幼き我が 手をつなぐ
片恋や 銀杏並木の 褪せぬうち
芒の穂 色なき風を 誘い出す
自堕落に 生きてみたやと ほととぎす
秋の風 電話の向こうの 居留守かな
馬車道を 路線バス行く ずくし柿
まだ紅き 芒の穂にも 秋の風
掻き合わせ 掻き合わせして 秋日傘
憂きことは 秋空いっぱい ふくらんで
いわし雲 まだ大丈夫かと 我に問う
天高く ストレスに痩せ ストレスに太り
経歴も 家族も嘘の 秋の宴(えん)
へそまげの冬
木枯らしに 恨みつらみが 息をする
虎落笛(もがりぶえ) 想い届かぬ ことに慣れ
タイラギの 腸(わた)を肴(さかな)に クリスマス
石蕗(つわぶき)の 黄(き)寒空に 色を投げ
幸せを したため年賀の 嘘八百
もう君を 想わずに行く 夕時雨
雄々しくて あんたに見える 冬木立
ああしても こう動いても 蟻地獄
あれこれと 目を瞑りおり 生きる術(すべ)
雨は雪に 気がかりは不安に 色がつく
へそまげの著者紹介
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