慢性痛に薬物治療を行う際には有効性の証拠の強い薬物から順番に試すことが原則である。個々の患者にどの薬物が有効であるのかを投薬前に知る方法はなく、薬物を1つずつ試すしか方法はない。慢性痛に対する薬物治療において、一般的にはまずは一剤を試し、副作用に耐えることができ不十分な鎮痛効果が得られた場合に、異なる機序の薬物を追加することが勧められている。副作用のために使用不能になった薬物の場合には使用中止の原因となった具体的副作用とその際の使用量を、無効な薬物の場合には最高使用量と最高使用量を使用した期間を記載した投薬表には以下の利点がある。①以前に投与した薬物を確認する時間が短縮する。②後日の組み合わせ治療の際に有用である。③医師の退職・配置転換・病欠により他の医師が一時的あるいは恒久的に治療を引き継いだ際に混乱が起こらない。④患者の転居あるいは治療無効のために新たな医師の治療を受ける際に紹介状を書くことになるが、その際に有用である。⑤患者を引き連れて医療機関を変わるあるいは開業する場合に有用である。⑥費用・手間がからず、特別な技術不要である。無効な薬や副作用のために中止になった薬を再度単独で使用する方法を2012年から開始した。そのため、初回投与時の併用薬を調べる時間を短縮する目的で中止決定日の記載を開始した。