「犬って、私?」気まぐれで我儘な彼女の部屋で、私は高熱に苦しんでいた。部屋の外に出られない私の唯一の楽しみは、彼女と献一の散歩の様子を聴くことだけ。献一を心から愛する彼女は、いつだって彼を玄関で待ち構える。「あの人は犬が好きなんだからね」と牽制されながらも、微かに聴こえる献一の声に私は次第に惹かれていき――。
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