おれが私生児として目覚め、まだ願望をもっているために生きているのだとしたら、願望に歴史がなければならないのだがーー克は敵の収容所にあって、思い出したのです。ふるさとの町に立った日のことを。真っ黒い雲が空に蓋をし、その下は大雨のあとのように、変にぎらぎらした灰色、水銀色が果てしなく続いて、以前そこが町だったしるしは、もう、何処にもなかったことを！！
そのあと、地下国家につぎつぎくぐりこんで母を捜したことまではおぼろに思い出すのですが？
「望みの種子は二万年後に」の第２部は、このあと、壮大なイメージで展開していきます。
空に浮かぶ大陸、ふたりの息子、リンとムーンの世界など、終末に向かって、大きな展開をみせます。大地震後のわが国にも通じるところがあったりして、びっくりさせられます。これは、警鐘なのでは！！