日本語しか分からない人とドイツ語しか分からない人が意思疎通するのが大変なように、持っている「音感」が違えば、同じ音楽を聴いても違う感動の仕方をします。これが固有の「音感型」です。
また「絶対音感」というものを多くの人は誤解しています。人間音叉のような聴覚を絶対音感と呼ぶとすれば、それは音楽の感性とはあまり関係がありません。重要なのは「相対音感」なのです。
本書は、音楽の感じ方、感動の仕方について、従来になかった分析を試みた書です。最初の執筆(1998年)から十数年を経て、2016年に全面改稿しました。
第一章は無料ですので、まずはお試し読みをどうぞ。
はじめに |
目次 |
はじめに |
第一章 絶対音感の誤解 |
1-1 遠い「拒絶」の記憶 |
1-2 間違いだらけの「絶対音感」 |
1-3 人間音叉能力=絶対音感なのか? |
1-4 人間音叉能力とドレミ音感は無関係 |
1-5 基準点が変われば「絶対音感」の定義も変わる? |
1-6 「絶対音感」の持ち主は古楽器での演奏ができない? |
1-7 高級カセットデッキでも保証できない「元の音」 |
1-8 正しく調律されたピアノは狂っている? |
1-9 純正律の天使と悪魔 |
1-10 ピタゴラスコンマのジレンマ |
1-11 平均律とはすべての音が平均に狂った音律 |
第二章 「相対音感」とは何か? |
2-1 絶対音感と相対音感 |
2-2 人間音叉的音感と音楽的才能はまったく別 |
2-3 絶対音感とコンピュータ |
2-4 メロディは相対音感の産物 |
2-5 小林亜星VS服部克久盗作訴訟に思う |
第三章 移動ドと固定ドの抗争 |
3-1 移動ドと固定ド |
3-2 クラリネットの『アマリリス』 |
3-3 鈴木メソードと移動ド |
3-4 バイエル32番に潜む怪物 |
3-5 固定ドvs移動ドの仁義なき戦い |
3-6 「固定ド」の罪 |
3-7 音名で歌うのは無理 |
3-8 階名と音名をごちゃ混ぜにする愚 |
3-9 『グリーンスリーブズ』の迷宮 |
3-10 12音全部に名前をつければ解決するという問題でもない |
第四章 「音楽的」音感とは? |
4-1 2つの絶対音感、2つの相対音感 |
4-2 「実音固定ド」と「譜面固定ド」 |
4-3 ミシラソと鳴ってもラミレドと聞こえる移動ド音感 |
4-4 移動ド音感は鼻歌作曲派の音感 |
4-5 ウグイスはドレミを知らないのに歌っている |
4-6 再生能力と創造力 |
4-7 ドレミ音感が日本人的音感を殺す? |
第五章 あなたの音感は何型か? |
5-1 天才作曲家は固定ドだった! |
5-2 ドレミで歌えないメロディがかっこいい |
5-3 長調・短調以外の音階でも相対音感はつくのか? |
5-4 相対音感「モード型」人間の存在 |
5-5 ドレミファは長調・短調だけでいい? |
5-6 あなたの音感は何型か? |
5-7 自分の「音感型」を知れば音楽の世界が広がる |
第六章 デジタル時代の音楽教育 |
6-1 音楽の危機 |
6-2 居間に生ピアノの愚 |
6-3 最初はシンプルなデジタルピアノを買う |
6-4 なにか1つは生の楽器を |
6-5 幼児期の「音感教育」は必要か? |
6-7 大人になってからでも諦めることはない |
6-8 大切なのは、よい音楽を聴かせること |
あとがき & 音感型判定チャート |
あとがき |
あなたの音感は何型か? 早見表 |
あなたの音感は何型か? 早見表(画像バージョン) |