『望みの種子は二万年後に！！』全２巻は、壮大なイメージ小説です。現在の大地震後に通じるところもあって、驚かされます。―――戦後の焼け跡に、おがくずのようなものが街を覆い、雨が過ぎると、この町の何万軒ものバラックから、心中のための毒薬を飲み干した後のように、病みつかれてやせ細った人々が、軽々と線香の煙のように立ち上がり、半死者になって、ふらりふらり合同火葬場に向かって行進していきます。「母さん、母さんの診断ではどうかしら？　おれは、もう、火葬場に向かって歩きださなければならないようです。自分の命は、自分が一番よくわかると母さんは言ったでしょう！」克は、死者の層から脱出するためのすさまじい痙攣をします。「おおい、みんな、死の仮面をつけるなんて、危険すぎるよ。冗談だろう！！　ただちょっと見に来ただけじゃないか！！」克たちはサンの故郷に逃れます。シュッシュ、シュッテン、嘘つき放題、生き放題、ここは天国、酒呑国！！遊び放題、読み放題。働き放題、寝放題、酒呑み放題、食べ放題、シュッシュ、シュッテン。ここは天国、酒呑国！！そこは理想郷です。