はじめに
世界にホンダが知られるまで 本田宗一郎のベンチャー魂
「世界にホンダが知られるまで」という単行本は、昭和四十七年(一九七二年)に私の父が起業した出版社より発行された第一号の書籍であった。ある日、自宅のパソコンで何気なくその本のタイトルを入れたら、通信販売で手に入れられることが分かり、早速、購入の手続きをとった。
今は亡き父は、経済雑誌ダイヤモンド社で経済記者を二十年にわたり勤めあげ、この本の発行される二年前に退職して起業した。この本は数万部販売することができ、スタートしてはまずまずの成果であったように思う。記者時代に本田技研工業に直接取材を行い、経営者との交流を基にして書き上げられたこの本は、学生であった私が読んでもなかなか面白かった。
私は、大学卒業後、三十二年間のサラリーマン生活を終えて、三十八年前に発行されたその本を手にいれることになり、再び読んでみた。ホンダの物語は今でも興味をそそられる魅力あるストーリーで面白い。そこで、父が著したこの本を、現代風にアレンジし、できれば当時の経済・社会情勢などを書きくわえ、これから事業を始めようとする現代の起業家たちの応援ができたら幸いに思う。
現代日本社会は、新規起業家たち、いわゆるベンチャー企業に資金が流れる仕組みが乏しく、それが経済低迷の一因でもあり、日本経済活性化のために、ソニーやホンダのような世界で活躍するベンチャー企業が現れてくることを切に願っている。
平成二十二年十二月二十七日
青山 太郎
一 スピードに賭ける命 |
二 一路マン島へ |
三 高慢の鼻 |
四 三種の神器 |
五 日本の名誉 |
六 TTレース制覇 |
七 黄色い危険 |
八 いよいよ四輪グランプリ |
九 メキシコGP優勝(ホンダFⅠ 一五〇〇CC) |
十 イタリアGP優勝(ホンダFⅠ 三000CC) |
十一 スピードを求めるWHYとHOW |
十二 走る実験室 |
十三 起業そして上場 |
十四 バタバタ |
十五 バイクの革命 |
十六 鍛冶屋の倅(せがれ) |
十七 いたずら小僧 |
十八 泥田からアゼ道へ |
十九 壁 |
二〇 アゼ道から大道へ |
二一 初恋心 |
二二 四輪進出 |
二三 不思議な男 |
二四 コドモ心 |
二五 得手に帆あげて |
二六 車の両輪 |
二七 バランスの美学 |
二八 たいまつは自分の手で |
二九 燃えつづける心 |
三〇 ホンダのDNA |
奥付 |
奥付 |