「武家の古都・鎌倉」の2013年度の世界文化遺産登録は登録延期となるであろう。考古学的遺跡群を削除すべきだと指摘され、最初（2008年）に登録延期となった平泉の前例が何も生かされていないからである。
　世界遺産の構成資産として21ヶ所を載せているとするが、実際には、正式の推薦書では建長寺に「朱垂木やぐら」を、覚園寺（かくおんじ）に「百八やぐら」を、名越切通に「まんだら堂やぐら」を追加しているので、実質的には24の構成資産というべきであろう。1994年に世界遺産に登録された「古都京都の文化財」（京都市、宇治市、大津市）でも構成資産数は17である。京都に比べると狭い鎌倉で21（実質は24ともいわれる）ある構成資産の数は誰の目にも多過ぎると映っている。考古学的遺跡群を削除し、誰にでも解かり易い必要最小限の構成資産にすべきであり、1桁程度の数が妥当であろうか。
　鎌倉が世界文化遺産の暫定リストに掲載されたのが1992年のことであり、正式に推薦されたのは2012年である。実に20年に及ぶ長い時間を費やしている。しかし、この間に、実質的には構成資産については何も検討されずに、ほとんど20年前のままである。これでは2013年に登録延期となるのも致し方ない。
　鎌倉が世界文化遺産を目指す上で最大の障害は、市の担当部門の意識の低さにあるともいわれている。鎌倉市の担当職員の奮起を促したい。