-Love is-

＜序＞

愛を語るのは難しい。
身近であるはずなのに、昔から存在するはずなのに、

”愛とは？”という疑問には明快に答えることができない。

だからこそ曖昧で、人それぞれ形が違うのかもしれない。

キリスト教が日本に普及する際、”ＬＯＶＥ”という単語に当てる日本語に困ったという。
最終的に”愛”が選ばれるわけだ。
そしてキリスト教的”愛”と日本古来から使われてきた”愛”の意味が混同し、現在の”愛”に姿を変えた。

上杉の知将、直江兼続が兜に”愛”という言葉を掲げていたのは有名だが、
今で云う愛とは意味合いが異なると考えるべきだろう。
詳しい違いは、私には分からないが。

また、”愛”と”恋”はまったく意味合いが違う。
その違いはここでは述べないが、此度の八編の小さな物語は、七人の主人公による、恋と愛の物語。

七人の恋模様は、時に重なり、時に影響しあい、紡がれる。

この小さな箱庭の”恋”を、ゆるりと楽しんでいただきたい。

では、しばしの旅を。