1学期も終わろうとしたある夏の日、小学6年生の祐希はクラスで孤立する。家の前に流れる川で、1メートル20センチのスズキを釣り上げた―――祖父が口癖のように語って聞かせた思い出話を、クラスメイトは信じないばかりか祐希を「嘘つき」呼ばわりし、白い目を向ける。
間もなく迎えた夏休み、祐希は生まれ育った都会を遠く離れ、田園風景の広がる田舎町へ単身旅立った。自分も1メートル20センチを超えるスズキを釣り上げるのだ、祖父のように。壊れかけたプライドを修復するため。大好きだった祖父の思い出話を守るため。そして一人だけ信じてくれた、秘かに思いを寄せる少女の期待に応えるため。
小学生最後の夏休みを賭けた冒険が、いま始まる。出会いと別れ。初恋と友情。幻の大魚を仕留めるために磨きをかけるルアーフィッシィングの技術と理論。
完全無欠の夏休み小説。
プロローグ |
第1章 伯父の家、祖父の川 |
第2章 空回り、振り出しに戻る |
第3章 楽園、生き物たちの暮らし |
第4章 試練、初めての獲物 |
第5章 再会、やがて離別 |
第6章 不可抗力、進路変更 |
第7章 祭りの予感、祖父の謎 |
第8章 激突、そして夏が終わる |
エピローグ |
奥付 |
奥付 |