米がつくった明治国家


著: DEP

米がつくった明治国家

著:DEP
状態 完成
最終更新日 2012年04月18日
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内容紹介

 この本は大正七年(一九一八)の夏に起こった米騒動を題材に取り上げて主題の中核に据える。七月二十三日、富山県魚津の漁師町に発し、十数日のあいだに県下全般の海岸地方の町々にひろがった騒動は、八月十日夜名古屋、京都に飛び火し、十一日夜からは大阪、神戸で大規模な都市騒動に発展した。市内各所で米屋襲撃と略奪、焼き討ち、乱闘がくりひろげられたのである。騒動は近畿、東海、中国、四国の各地へ拡大し、さらに関東、九州へ波及した。八月中旬以降は山口県宇部炭鉱と北九州三池炭鉱で鉱夫による暴動があいついだ。これらはすべて、米価高騰をいきどおり、生活の窮迫を訴える「米騒動」である。騒動は前後約五十日間続き、青森、岩手、秋田、栃木、沖縄の五県を除く一道三府三八県の三八市一五三町一七七村、合計三六八ヶ所で発生した。参加人数は数十万人に達したと見られているが、警察だけで収束できず、一二一地点に延べ十万人の軍隊が出動してようやく鎮圧した。騒動が全国的規模にひろがり、しかも、ほとんど同時多発的に発生したところに事件の重大性が示されている。
 米騒動の輪郭と内容を知り、その歴史的意義をたずねることが本書の目的だが、著者の野心は、実は、この前代未聞の民衆騒動を日本近代史のなかへ正当に位置付けようとする試みにある。

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