多くのものを持たないささやかな洋菓子店の店主は、妻に見限られたったひとつの宝、息子を奪い去られる。 離婚した12月は毎年愛息を思い出す、悲しい月となった。その悲しみに震える手で、喜びに満ちた家庭に届けるためのクリスマスケーキを作る。仕事とは言え、その行為は耐えがたい苦しみを運んでくる。 彼はそれから逃れるため、自己を満足させるために行動を取るのだった……。 2010年の作品。掌編小説です。