谷垣利光（たにがき・としみつ）五十二歳。リストラされて現在無職。
　子供は無い。一回り歳の若い女房は、男を作って出て行ってしまった。

　突然のリストラに、裏切り女房の失踪。
　失意もここに極まれり。……どん底だ。

　家を捜しているさなかだった。余生を過ごすべく家を。
　……いや。ちょうど、家を見つけた時だった。

　それは米軍基地の敷地に隣接する、フェンス脇に建つ平凡な木造家屋。
　かつての所有者は、核戦争を恐れ、地下シェルターを造った。

　そうだ。不動産屋も持て余した変わりダネ物件。
「シェルター付き家屋」は、相場よりずっと安かった。

　こうして谷垣は「地下世界」を手に入れた。

　悪魔と契約した訳ではないのだが、一身上の都合により、
「余生は、犯罪者として生きてやる」
　との決意が固まった。

　美女監禁が始まる。