元外科医で今は検診センターに勤めているぼく(小松)の知人で、ペシェこと太田正美が胃癌の診断をうけ、手術、再発という経過をたどっていく。
小松は、その折々に、ペシェにあてて手紙を書いたが、けっきょく諸事情でその7通の手紙は彼の手元に届くことはなかった。その理由は様々で、中には「闘病中のペシェには厳しすぎる内容だから」というものも中にははいっている。
作品は、その「届けられることのなかった」7通の手紙を中心に、その手紙が書かれた時期の様子が順に描かれる。
その手紙の内容は、ときに科学的にときに哲学的で、がんや病気・死についての記述を多角的に展開している。
目次 |
プロローグ |
1 はじめて胃がんと知らされたあなたへ |
2 手術前夜のあなたへ |
3 手術後数日たったあなたへ |
4 外来経過観察中のあなたへ |
5 自分をはなれて世の中のことも少しみてみよう |
6 再発といわれたあなたへ |
7 最後の仕事にとりかかる前のあなたへ |
エピローグ |
奥付 |