黒岩涙香の白髪鬼の現代語訳、イタリアの歴史ある貴族、羅馬内家の若き後継者、波漂・羅馬内(ハピョ・ローマナイ)は親友の貧しい画家魏堂(ギドウ)を兄弟のように思い、信頼して家にも自由に出入りをさせていた。波漂は友人魏堂との交友に満足し、今まで女性には全く関心が無かったが、ある日、散歩の帰りにこの世にまたとない美女那稲(ナイナ)と出会い、天女にでも出会ったような気になり、感激し、あっという間に結婚してしまった。幸福な気持ちに満ち足りて生活していたある日、散歩に出て、伝染病にかかった少年に出会い、助けようとして、自分も激烈なこの伝染病に感染し、その日のうちに発病し、死んでしまう。
真っ暗な中で、ふと記憶が戻ったが、墓の中の棺桶の中だった。どうにかこうにか脱出し、家に戻ってみると、妻那稲と親友魏堂が夫婦のように睦まじく語らっており、その話から二人に裏切られていたことを知る。
0、訳者の前置き |
一.伯爵波漂(ハピョ)の生い立ち |
二。伯爵波漂の結婚 |
三.波漂の伝染病感染 |
四、波漂の死と蘇生 |
五.ここはどこだ |
六.暗闇での苦闘 |
七.暗闇の中での光明 |
八.暗闇からの脱出 |
九.古着屋 |
十.主人の述懐 |
十一.変わりように驚く波漂 |
十二.裏切りを見た波漂 |
十三.怒りに震える波漂 |
十四.二人の会話に歯ぎしりする波漂 |
十五.魏堂の勝手な言い分 |
十六.復讐の固い決意 |
十七.ひとまずパレルモへ |
十八.波漂を見破る船長 |
十九.照子の貞淑ぶり |
二十.変装に精を出す波漂 |
二十一.立ち居振る舞いも変える波漂 |
二十二.捕まった海賊カルメロネリ |
二十三.財宝の使用を許された波漂 |
二十四.警察署長の訪問 |
二十五.いよいよネープルへ |
二十六.ネープルのコーヒー館にて |
二十七.波漂をけなす魏堂 |
二十八.那稲に会わせたがる魏堂 |
二十九.会うのを断る波漂 |
三十.魏堂の家を訪れた笹田伯爵 |
三十一.那稲に会わされた笹田伯爵 |
三十二.那稲と話をする笹田伯爵 |
三十三.嫉妬する魏堂 |
三十四.魏堂の話に耐える笹田伯爵 |
三十五.星子に会う笹田伯爵 |
三十六、星子をいたぶる魏堂 |
三十七.魏堂達を暗に告発する皺薦 |
三十八.魏堂を安心させる笹田伯爵 |
三十九.那稲を愛さないように求める魏堂 |
四十.波漂に似ているのを危惧する那稲 |
四十一.魏堂に知られないように親愛を示す那稲 |
四十二、星子を心配する笹田伯爵 |
四十三、笹田伯爵に那稲を頼む魏堂 |
四十四.危篤になった星子 |
四十五.目を見せてと頼む星子 |
四十六.老僕に見破られた波漂 |
四十七.魏堂の手紙に憤慨して見せる那稲 |
四十八.那稲に妻になれと言う笹田伯爵 |
四十九.那稲に愛をささやかれた笹田伯爵 |
五十.目を見せてと言う那稲 |
五十一、幽霊ではないかと驚く那稲 |
五十二、嵐の中で憂さを晴らす波漂 |
五十三、復讐の序曲 |
五十四、修道院に避難する那稲 |
五十五、ピストルの手入れをさせる波漂 |
五十六、魏堂の乗る馬車の到着 |
五十七、胸騒ぎを訴える魏堂 |
五十八、13の数字に沈むパーティー |
五十九、盃を投げつける魏堂 |
六十、決闘を申し込む笹田伯爵 |
六十一、介添人を断られ困る魏堂 |
六十二、自室に戻る笹田伯爵 |
六十三、那稲に会えず苦悩する魏堂 |
六十四、決闘場に着いた笹田伯爵 |
六十五、サングラスをはずす笹田伯爵 |
六十六、笹田伯爵を恐怖の目で見る魏堂 |
六十七、貴方は誰だと聞く魏堂 |
六十八、波漂に謝り事切れた魏堂 |
六十九、いよいよ那稲を憎む波漂 |
七十、魏堂が死んだことを聞き安堵の色を見せる那稲 |
七十一、魏堂に全財産を贈られて喜ぶ那稲 |
七十二、笹田伯爵の指を見て気絶する名稲 |
七十三、本当は若いと見抜かれた笹田伯爵 |
七十四、リラの素直さをうらやむ笹田伯爵 |
七十五、那稲の魏堂への手紙 |
七十六、那稲の緻密さにあきれる波漂 |
七十七、リラと瓶造を結ぶ決意 |
七十八、ネープルに戻った波漂 |
七十九、結婚式の準備にいそしむ二人 |
八十、飼い犬を撃ち殺させた那稲 |
八十一、羅浦船長に再会した笹田伯爵 |
八十二、外国に密かに送ってくれと頼む笹田伯爵 |
八十三、那稲に嫌みをを言う笹田伯爵 |
八十四、素晴らしい宝石を那稲に約束する笹田伯爵 |
八十五、婚礼の夜宝石を見に行くことにした那稲 |
八十六、瓶造に睡眠薬を飲ませる笹田伯爵 |
八十七、墓倉で何かを仕組む笹田伯爵 |
八十八、那稲の美しさに息を呑む笹田伯爵 |
八十九、那稲の冷静さに感心する笹田伯爵 |
九十、町中の人を饗応する笹田伯爵 |
九十一、那稲とダンスする笹田伯爵 |
九十二、開始の十一時の鐘の音 |
九十三、波漂の姿に戻る |
九十四、辻馬車で墓倉へ |
九十五、どこなのか不安がる那稲 |
九十六、やっと墓倉の底へ |
九十七、素顔見せる波漂 |
九十八、恐れる那稲 |
九十九、助けを求める那稲 |
百、必死に逃げようともがく那稲 |
百一、波漂にしがみ付く那稲 |
百二、もう一度愛してと頼む那稲 |
百三、短剣を奪う那稲 |
百四、どうした那稲 |
百五、どこかが崩れ真っ暗に |
百六、那稲の最後 |
百七、アメリカで再起を期す波漂 |
奥付 |
奥付 |