この書は戦国大名越前朝倉家が、天下布武をめざす織田信長によって滅ぼされる顛末を描いた作品です。その顛末は、一乗谷の近くの栂野村の百姓弥助が、朝倉家滅亡後、夜の炉端で孫の小弥太に語り聞かせるかたちで進みます。実は、弥助は、息子の弥太郎を朝倉の最後の戦いに徴用されて亡くしています。小弥太は弥太郎の子です。小百姓一家の大黒柱を失う大事ですが、ここでは、その原因となった朝倉家の合戦と滅亡を主題に話を進めています。なお、タイトルは、朝倉義景の辞世の句といわれている漢詩です。著者はさきにこのサイトに『義景自尽』をアップロードしておりますが、あの書は、義景の最後の最後をラジオやテレビのドラマにしてはどうかという習作のつもりで書いたものです。
第一章 但馬の名族朝倉家、越前遠征で地歩築く |
第二章 朝倉家四代支えた宗滴教景出征中病死す |
第三章 朝倉四代支えた宗滴教影出征中に病死す |
第四章 宗滴教景後、朝倉栄華の光に、内外に不穏な影 |
第五章 都で将軍暗殺、越前では有力武将謀反の噂 |
第六章 流浪の将軍候補、ついに朝倉家を頼る |
第七章 義景に、十五代将軍候補の後見役打診 |
第八章 義景の愛息、阿君変死す |
第九章 もと斯波家の同輩家、美濃で急に頭角を現す |
第十章 信長、足利義昭を擁して上洛めざす |
第十一章 信長急遽敦賀を攻めるも、浅井の謀反で退却 |
第十二章 朝倉・浅井に名参謀不在、姉川合戦で大敗 |
第十三章 朝倉優柔不断で劣勢挽回の機会逸す |
第十四章 信長、味方を拒んだ比叡山焼き討ち、僧俗三千人犠牲 |
第十五章 最後の最後まで、返り忠、謀反が見舞う |
第十六章 景鏡が正体をあらわしたとき、朝倉家も滅亡 |
第十七章 朝倉滅亡の余燼けむる越前 |