新約・カチカチ山

新約・カチカチ山

状態 完成
最終更新日 2012年02月13日
ページ数 PDF:123ページ
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内容紹介

<完結>誰もが知っているカチカチ山のお話。だけど子供の頃、この物語を聞かされたとき、何か違和感を感じた。最近になって調べてみると、この物語の前半部分は、あとから付け足されたお話で、最初は狡猾なウサギが愚鈍なタヌキをいじめ殺す――つまり『愚者にはなるな、お人よしにはなるな』というお話だったらしい。しかし後に前半部分のおじいさんとおばあさん、ウサギとタヌキという人間関係からウサギの行為を正当化する理由――タヌキは愚かなだけではなく悪事を働いたのでウサギに殺されても当然――というお話に作り替えられたのでした。子供の頃感じた違和感を解決すべく、物語を小生なりにホラーの要素を入れて再編してみました。後に知ったのですが、かの太宰治もこのカチカチ山を独自の解釈で書いたそうです。それにはきっと、遠く及ばないでしょうが、十分楽しんでもらえる作品に仕上がったと思います。

目次
序章
独りぼっちの狸
山の神様の使い
白いウサギ
第1章 月光のウサギ
ウサギの里
念珠
月に焦がれて
月からの贈り物
第2章 おじいさんの畑
ウサギの目
カチカチ
赤い目
畑荒し
第3章 恥辱
兎の餅つき
ウサギとカメ
杵と臼
屈辱
戒め
第4章 捕らえられた狸
やさしい狸
ごめんなさい
駆ける白兎
第5章 それぞれの思い
失敗
覚悟
救い
選択肢
第6章 すれちがい
密会
漆黒の闇
狂気の月
第7章 変わり行く月
景色
囲炉裏
ゴンタ
名前
第8章 禍々しきもの
雨上がりの夜空に
約束
咆哮
第9章 変身
わらじ
針と糸
満ちゆく月
第10章 満月
月の出
首飾り
狡猾の罪、愚鈍の罪
変貌
縄を解く
黒い穴
凶暴な獣
第11章 汚れた月
伝えたいこと
真っ赤な夕日
血塗られた杵
狡猾なウサギ
愚鈍なタヌキ
弔う
嘆き
第12章 月影
釜戸の火
三獣、菩薩の道を修行し、兎が身を焼く語
断ち切れぬ思い
喪失
赤い月に泣き崩れる
第13章 月になった狸
それぞれの願い
解き放たれた兎
月になった狸
終章
なにもかも
月光