【あらすじ】
少しだけ未来の世界。
厭世観と、死を人類平等の権利と見なす風潮が世の中全体に広がっていた。
そして、それを後押しするかのように『アルカディア3』という危険な自殺薬までもが認可され、世界各国で販売されるようになり、より一層の人口率低下を引き起こす原因となっていた。
アルカディア3は、噛んで飲み下せば三秒であの世という名の理想郷に行くことができる、つまり3秒で死に至る劇薬であるにも関わらず、コンビニやスーパーでも身分証を提示すれば購入できるという、なんともお手軽な死の薬だった。
父と母、それに恋人までもをアルカディア3で失ったエーコは、弟のケンと二人、凡庸でささやかな日常を過ごしていた。
エーコはある朝、散歩の途中にふらりと立ち寄ったコンビニで、気まぐれでアルカディア3を購入してしまう。
父と母、恋人を奪ったアルカディア3を憎みつつも、なぜか興味を引かれてしまうエーコは、3粒入っていたうちの1粒をピルケースに入れ持ち歩くようになる。
ある時、エーコは弟やその友人たちに連れられて行ったクラブで、足元に転がってきたドラッグを拾い上げ、興味本位で飲んでしまう。
意識を失ったエーコが素っ裸で目覚めたのは、見知らぬ男の家だった。
自分の過失を棚に上げ、お持ち帰りされたことに激怒して帰るエーコだったが、その後男に再会し、心の隙間を埋めるように、なんとなく、男と時間を共にすることが多くなっていく。
「 人々は、天国という不確かな理想郷に縋ってこの薬を手に取る。
恐怖も三秒間。
迷いも後悔も三秒間。
そして、もどかしさも三秒間。
全てが三秒で済むなら、それこそ理想的ではないだろうか。」
アルカディアに翻弄される、エーコを中心とする人々の生活を描いた近未来SFです。
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