深川残照

深川残照

販売価格:55円 (税込)
状態 完成
最終更新日 2012年02月13日
ページ数 PDF:37ページ
内容紹介

大坂南久太郎町に住む大工の棟梁宅に幼い頃から住み込んでいる大工、留吉と嘉助は三つ違いの兄弟弟子である。兄弟子の留吉は「どん亀」と綽名されるほどのお人好しの名人肌だが弟弟子の嘉助は正反対の才気者、心底仲が悪いというのではないが、何かと言えば突っかかって行くのが嘉助の癖である。
所で棟梁には一人娘「小雪」が居る。その小雪に対し淡い恋心を抱いていたのは留吉と嘉助の二人である。しかし嘉助は留吉に較べて男振りが良い。その嘉助に小雪が惹かれたのも無理からぬ話であった。しかし好事魔多し、博打に溺れた嘉助は一夜賭場で武家の小者に深傷を負わせた。嘉助を案じる小雪の頼みで、留吉は嘉助と共に大坂を離れた。時は安政の大地震の直前。江戸に入った二人は深川に住んで大工となる。しかし嘉助の意地っ張りは治らない。そして嘉助は闇夜の堀割側で数人の無頼漢に襲われた・・・。
江戸で埋葬された嘉助の遺髪を抱いて留吉は大坂へ戻ってきた。棟梁の邸の裏庭には幼い頃から馴染んだ御所柿が赤い実をたわわに実らせて何一つ昔と変わるところはない。しかし・・・既に留吉と嘉助の過去の記憶は遙か彼方に去っていた・・・。