近未来、先進諸国の列から転がり落ち「民主主義国家を装う全体主義国家」へと変貌しつつある日本。陸上自衛軍の女性士官、穂摘悠理少尉が配属された新戦術実験中隊は、演習の最中に正体不明の武装勢力の襲撃を受ける。敗走した部隊ともはぐれて彷徨う彼女を捕えたのは、重火器で武装した孤児の少女たちと、それを率いる一人の中年女性だった。メアリ・バーキンズと名乗る女が目論む『聖母の嘆き作戦』に、否応なく悠理は取り込まれていく……「一番愚かしくてまともな女」と「最も知的で狂った女」の出会いから始まるジェンダー軍事SF、その序章。