建物も灯りも何も見えない。
星も見えない。
東京の空には何もない。

何も見えない東京の空の下にはたくさんの人がいる。
今日もどこかで恋が始まったり終わったりしている。
笑ったり怒ったり泣いたりしている。

喪失感を抱えて毎日を過ごす私。バーテンダーの景太。学生結婚をした「私」の妹の菜緒。カメラが趣味の杏奈。柊士。美海。亮。朝生。達大。ノブ。千夏。真奈未。‥‥
それぞれが不安や焦燥感を抱えながらも、惹かれ合い、そして触れ合う。
地下鉄の駅をめぐって張り巡らされる線路のように、絆は見えない光の糸でつながっていく。