イタリアのフィレンツェを舞台に、盲目のバイオリニスト、カミーユ・グラントとスリのアンジェラ・ブラッツィの恋を描いた作品。
イギリス人の父とフランス人の母を持つ盲目のバイオリニスト、カミーユが、コンサートのため訪れたイタリア・フィレンツェで、偶然、スリのアンジェラに出会う。子供の頃に両親・妹とともに瞳の光をも失ったカミーユは、今も心に大きな傷を抱えているが、口の悪さとは裏腹に優しい心根を持つアンジェラとの出会いで、その傷も次第に癒えていく。そんなアンジェラにも本人さえ知らない出生の秘密があり、知らず命を狙われることになる。出会った時から惹かれ合いながらも、身分の違いにカミーユの胸に素直にとびこむことを躊躇う、アンジェラ。そんな２人の恋を心から応援するカミーユの幼馴染、アンドリュー。そして、アンジェラのことを愛しながらも彼女の幸せのために身を引こうとするアンジェラの幼馴染、セルジオ。それぞれの思いを乗せながら物語は進み、やがて、皮肉な運命のいたずらから、アンジェラの異母姉妹のラウラがカミーユを愛してしまったことから物語は悲劇へと発展する。
宝塚の舞台のように、女性が見て美しいと感じる恋の形、キャラクター設定で書き上げた女性向けの恋愛小説。