若く、そしてやさしすぎる日系の米軍爆撃手・ウェンツ少尉と、彼に課せられた任務の空爆で家族を失った日本人の女の子・香椎鏡子(かしい・きょうこ)。本来隔てられるべきその二人。しかしウェンツ大尉の率直な償いの気持ちと、女の子の大いなる意思によって、立場を超え惹かれあい、歴史と運命に立ち向かっていく。容赦なく巻き込んでくる戦争。欧州戦線で生き抜いた少尉は、母に聞かされ、あこがれ続けた日本を空爆する運命に苦しみ、終戦後の日本占領の現場で、鏡子に出会い、その貧しさのなかでも失われない意思の力に魅入っていく。
しかし、そんな少尉の心が鏡子の心を和らげて行くなか、少尉は思い返す。
日本を爆撃する高高度のB-29編隊を、ただ一機だけ、さらにその上空から襲い掛かる日本の迎撃機がいた。トージョーでもオスカーでもフランクでもなく、たった一機なのにネメシスとB-29クルーに呼ばれ、恐れられた伝説の迎撃機。ウェンツはGHQに所属しながら、そのまぼろしの迎撃機の秘密を探っていく。
私たちへつながる、大空のいのちの記憶 |
第1部:君の街を焼いたのは僕だ。 |
東京1945 |
運命の残酷 |
告発のまなざし |
まぼろしの夜 |
まぼろしの夜 |
焼け跡のマリア |
傷跡 |
冷たい物理学 |
若き決意 |
不屈の魂 |
不屈の魂 |
青い地獄 |
青い地獄 |
「精密な爆撃」 |
目標接近 |
ネメシス、復讐の神 |
眼下の目標再び |
エスカレート |
地の地獄、空の地獄 |
覚悟の出撃 |
その眼は閉じることを許されない |
ネメシスの恐怖 |
罪の応酬 |
幻のインターセプター |
幻のインターセプター |
空しい連鎖 |
夢の跡へ |
魂の人 |
廃墟の翼 |
ブラックボックス |
嘆き |
謎は謎のまま |
ガラスの不条理 |
ガラスの不条理 |
平穏の中の嵐 |
失われた行き場 |
終わりの始まり |
悲しい約束 |
終わりの汽笛 |
終わりの汽笛 |
進駐軍列車 |
牙のない獣 |
残酷な美 |
エクスプレス1947 |
展望車の人々 |
虚飾の華燭 |
絶望の密室 |
ターミナル |
Mt.HAKONE |
悲しき熟練 |
最後の晩餐 |
手段の選択 |
月の光 |
とけた呪い |
二人の朝 |
第2部:次の扉 |
次の扉 |
アンダーグラウンド |
不死の帝国 |
世論の誘導 |
秘密兵器のナンセンス |
男として |
電話局の男 |
発信数列 |
既定路線 |
敵の敵は |
見捨てられた土地 |
神も悪魔も |
侵略者から統治者へ |
若き義憤 |
冬の監獄 |
冬の虫 |
戦い再び |
戦い再び |
新たな任務、再びの敵 |
死神の鎌 |
天国と地獄 |
美しき覚悟 |
強き父 |
嘘と昇進と皮肉 |
毀誉褒貶の戦い |
消された提督 |
謎はまたしても |
道のありか |
謎のジェット |
仁川上陸 |
アコーデオン戦争 |
虚構の再生産 |
歪んだ帝国 |
虚構の再生産 |
収奪と欺瞞の装置 |
連続する戦争と戦後 |
終わることはまたしても許されない |
第3部:最後のフライト |
1964年 |
コンタクト |
ソラノカケラ |
ガンシップ |
ネメシス |
撃墜 |
もうひとつの復讐 |
謁見の控えの間 |
戦いの後 |
戦いの後 |
平成の御世へ |
悲しき真相 |
悲劇の、果て |
奥付 |
奥付 |