ある日、宮崎県で古老が自宅で殺害される。
　宮崎県警が捜査に赴くが、現場で何者かに襲われ、刑事が二人殺される。しかし、その現場はすでに、極秘に古老を捜査していた警察の公安部から派遣された特殊機動部隊によって包囲されていた。機動部隊は、外国の諜報機関の関係者と思われる犯人たちに投降を呼びかけるが、自宅内部にいた犯人たちは、その場で自爆して果てる。
　古老はなぜ殺されたのか？　犯人たちはなぜ古老の自宅を襲ったのか？　公安は古老の何を追っていたのか？
　実は古老には、日本の古代天皇家の天皇陵や陵墓参考地の盗掘問題に関わっている疑いがかけられていた。その協力者と目されるのが、出雲大学教授の高野と、ＩＴ関連企業の若き長者・佐伯だった。
名誉も財産もある彼らがなぜ、発覚すれば重大な犯罪にもなりかねない盗掘などに関わったのか？　そもそも古老はなぜ古代の天皇陵や陵墓参考地を盗掘しようなどと思いたったのか。
その背後には、『古事記』や『日本書紀』に描かれた天孫降臨の神話にまで遡る、『ダ・ヴィンチ・コード』に描かれたキリストの秘密にも似た、日本国にとってあまりにも重大な秘密が隠されていた。古老と、古老の所属する組織のメンバーたちは、神武天皇のはるか以前から続くその秘密を、何千年以上ものあいだ静かに守り続けてきたのだった。
しかし、『ダ・ヴィンチ・コード』級のその秘密はいま、外国の諜報機関を含むいくつかのグループの手で白日の下にさらされようとしていた。古老の意を継ぐ高野たちは、あるいは日本の警察は、果たしてその秘密を守りきれるのか。それとも日本国は、国の存亡をも危うくしかねないようなその秘密を、何者かによって盗まれてしまうのだろうか？