野尋禾が、二○○九年にツイッター上で発表した、回文ついのべをまとめました。(”野尋禾のついのべ”シリーズ収録作品から回文ついのべを抽出、ひらがな書き下し文と解説を加えたものです。)
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まえがき |
まえがき |
二◯◯九年十二月の回文ついのべ |
人間とエルフが対立する異世界── |
写真家だった祖父の遺品を整理していて見つけたカメラ── |
最近、俳句にこっていて、句会というのにも参加してみた。 |
引退を表明した政治家── |
年末── |
通称コアラ──都内に出没する謎の存在である。 |
吹雪はやんだ。 |
パンなんて食べられるか、と公言してはばからなかった石井。 |
ある、愛情のさめた夫婦。 |
何かに導かれるように戦場へ迷いこむ悪夢。 |
彼女が帰ったあと、残り香に気づく。 |
苦節──雌伏のときを終え、集いし面々。 |
娘の婿どのが、探偵を名乗る男に騙された。 |
”大物になる靴”なるものでひともうけを企む一味。 |
退屈な冬休み。 |
クリスマスでにぎわうなか、妹は思春期の妄想に病んでいる。 |
先鋭的な思想のもとに集結した集団。 |
狐つきの通称で呼ばれる検事。 |
伝承にいう── |
向井ときたら、ほんとにどうしようもないとんちきだ。 |
十二月二十一日は回文の日。 |
古代、まつろわぬものの国のたそがれ── |
悲しみに出会うたび、ひとはつよくなる。 |
なぜか、深夜のお掃除。 |
たいした雪ではないから、外で遊んでこい、という父親。 |
うまい酒も憂さをはらすことはなく、夜もまた明けない。 |