現代物理学は、素粒子の性質を標準模型によって極めて精密に記述することに成功している。しかし、その基本的な描像において、素粒子は大きさを持たない点状の存在として扱われている。この点粒子的な描像は、計算上の無限大や、質量・エネルギーがどのように生じるのかという根本的な問題を考えるうえで、なお深い課題を残している。
標準模型における19の定数問題も大きな課題となっている。現在は任意なものとして、実験値を意味不明のまま挿入して計算し、高い精度で正解を得ている。しかし、実験値の意味することは不明であり、より深い原理からの説明が長年の課題となっていた。しかし、
現在までのところ、最先端の超弦理論をはじめ、どのような理論でも定数問題を基本方程式から導出する挑戦を試みたことはなかった。
本研究で提案する「素粒子脈動原理」は、素粒子を静止した点としてではなく、宇宙空間を満たすエネルギーの中に形成され、膨張と収縮を周期的に繰り返す「脈動するエネルギーの塊」として捉えることから出発する。 この考え方では、宇宙空間には一定の平均的なエネルギー密度が存在し、それを真空エネルギーの基準密度と考える。素粒子は、この平均密度からの局所的なエネルギー密度の偏りとして形成される。そして、その密度の変化が時間的に周期運動することによって、粒子としての性質と波としての性質が交互に現れる。 素粒子は一つの周期の中で、粒子行程、波行程、負粒子行程、そして再び波行程へと移行する。この脈動によって、粒子と波は別々の存在ではなく、一つの存在が異なる状態として現れたものと考える。
本原理の目的は、既存の理論を単純に置き換えることではない。むしろ、素粒子の「粒子性」と「波動性」、質量とエネルギー、真空エネルギーと粒子、さらに量子力学と相対論の関係を、一つの動的な脈動構造から統一的に理解できるかを検証することにある。